2022.11.06 Web制作
システム開発 - AWS DNSの設定概要(Route53)
前回のAWS IPアドレスの固定(Elastic IPアドレス)では、Webサーバーインスタンスに固定IPを設定することができました。
DNSの設定が完了すれば、AWS上の基本的な設定が完了します。
さて、DNSの設定にあたり、Webサイトの表示される仕組みに簡単に触れていきたいと思います。
Webサイトの表示の仕組み
インターネットは、様々なサーバーとデータのやり取りができるネットワークです。ブラウザにURLを入力すれば、Webサイトのデータがインターネットを介して届き保存され、ブラウザにWebサイトが表示されます。
このデータのやり取りには、必ずそのデータをリクエストする宛先とリクエストの戻り先の情報が必要で、その宛先と戻り先を表すのが、インターネット上の住所と言われるIPアドレスになります。
インターネット上のグローバルIPアドレスとローカルネットワークのプライベートIPアドレスを組み合わせることで、宛先と戻り先が特定できるのです。
一般的なWebサイトの表示まで
① URLをリクエスト
URLをリクエストすると、そのリクエスト先の情報、リクエストの内容と戻り先の情報などが送信されます。
- リクエストの内容は「http(s)」
- リクエスト先は「www.flying-h.co.jp」
- 戻り先は「プライベートIPアドレス」
となります。そして、ルーターを介しますので、このルーターのグローバルIPアドレスが追記されます。
② IPアドレスを探す
インターネット上では、データの持っているサーバーの住所であるIPアドレスが必要なので、DNSに、ドメイン名に対応するIPアドレスを問い合わせます。
DNSは、そのリクエストに対して、ドメインのIPアドレスを教えてくれる役割を果たします。
③ IPアドレスを返す
DNSでは、フルリゾルバといわれるキャッシュサーバーがあります。
このフリリゾルバが、リクエストされたドメインのIPアドレスをキャッシュしていれば、そのままIPアドレスを戻り先IPアドレスに返します。
知らない(キャッシュされていない)ならば、各レベルのネームサーバーに複数回問い合わせ、IPアドレスを見つけ、その情報を戻り先のIPアドレスに返します。
この情報は、一定の時間フルリゾルバにキャッシュされます。
④ Webサーバーにアクセス
ブラウザは、IPアドレスを受けとると、直接Webサーバーに各種情報とともに接続します。
⑤ データを返す
Webサーバーは、リクエストの内容に応じてプログラムが起動し、リクエストされた情報を返します。
リクエストの内容には、ウェルノウンポート番号が代表的で、下記のようなものがあります。
- SSH:22
- SMTP:25
- HTTP:80
- HTTPS:443
DNSについて
上述の「② IPアドレスを探す」から「③ IPアドレスを返す」までをもう少し詳しく解説します。
① 例えば、ブラウザから、google.comをリクエストをすると、まずは、フルリゾルバというキャッシュサーバーに問い合わせをします。フルリゾルバがIPアドレスを知っていれば(キャッシュしていれば)、そのままIPアドレスを返します(⑤)。
② フルリゾルバがキャッシュを持っていなければ、フルリゾラバは、最初に、ルートネームサーバーにgoogle.comのIPアドレスを問い合わせます。ルートネームサーバーは、[.com](.coや.netなど場合によります)のネームサーバーに問い合わせるよう、返します。
③ フルリゾルバは、次に、[.com]ネームサーバーに対し、google.comのIPアドレスを問い合わせます。[.com]ネームサーバーは、[google.com]のネームサーバーに問い合わせるよう、返します。
④ フリリゾルバは、最後に[google.com]のネームサーバーに問合せます。[google.com]のネームサーバーはIPアドレスを返します。
このネームサーバーは、例えばお名前.comがドメインを管理している場合には、お名前.comのネームサーバーが、[.com]ネームサーバーにより指定されます。
⑤ブラウザは、フルリゾルバから返されたIPアドレスを受けとると、そのIPアドレスのサーバーに直接接続し、データを受けとります。
ちなみに、ルートサーバーは、世界に13機しかないそうです。その負荷軽減にフルリゾルバ(キャッシュサーバー)が貢献しています。
Route53とは
上記でDNSの働きについて確認しましたが、今回使用するRoute53というサービスは、最後のネームサーバーを構築するサービスです。
構築したネームサーバーのURLをドメインを管理しているお名前.comなどの管理画面で登録することで、IPアドレスがユーザーに伝わるようになります。
DNSが管理しているリソースレコードタイプ
DNSの設定の際に登場するリソースレコードタイプについて、簡単に説明しておきます。
NSレコード
Name Serverの略で、特定のサブドメイン+ドメイン名について、どこで当ドメインのIPアドレスが見つけられるかを知らせるサーバー名を設定します。
SOA
Start of authorityの略で、ドメインのゾーン(管理する範囲)に関する情報が記載されている場所になります。
A(AAAA)レコード
Addressの略で、サブドメイン+ドメインにIPアドレスを関連付けるレコードタイプです。
IPv4ではAレコードで、IPv6ではAAAA(クワッドエー)レコードで設定します。
CNAME
Canonical Name(正規名)の略です。特定のサブドメイン+ドメイン名を別のサブドメイン+ドメイン名への転送を設定します
MXレコード
Mail Exchangerの略です。サブドメイン+ドメイン宛てのメールを指定のメールサーバーに配送することができます。
まとめ
今回は、Webサイトの表示の仕組みについて解説し、DNSの働きを確認しました。
次回は、お名前.comでドメインを取得し、実際にRoute53サービスを利用して、DNSの設定を行っていきます。
文責:フライング・ハイ・ワークス代表 松田 治人(まつだ はるひと)
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