さまざまな業界・職種で人手不足が経営課題となる中、自社で求人サイトの構築を検討することもあるでしょう。しかし、求人サイトの立ち上げは容易なものではなく、市場分析や戦略の立案、サイトの設計、システムの運用など多くの労力を必要とします。

この記事では、求人サイトを立ち上げるときに役立つシステムの紹介や成功させるためのポイントを解説します。

求人サイトを構築するポイント

求人サイトの構築を成功に導くには、いくつかのポイントをあらかじめ押さえておく必要があります。まずは求人サイトの基本的な捉え方について解説します。

そもそも求人サイトとは

求人サイトとは、人材を求めている企業と求職者をマッチングさせるためのサイトをいいます。サイトの形態は企業によってさまざまですが、大きく分けると「汎用型」と「業界特化型」に分けられるでしょう。
どちらも人材を集めて採用につなげるという点では同じですが、汎用型の求人サイトは広く人材を集めることに特徴があります。多くの求人票を掲載することによって、求職者は数ある企業の中から、興味・関心のある企業を見つけ出せるのが利点であり、食品業や製造業などの業種で多く見られる形態です。

一方、業界特化型は特定の資格や経験を保有している求職者に対して、職種を絞ってアプローチするものです。企業が求めている人材と働く側のマッチングが行いやすく、条件が合えば採用に結び付きやすいでしょう。

ただし、高いスキルや能力を備えた人材の獲得は競合他社との競い合いになる部分もあるため、求人サイトをうまく構築しなければ、思うように人材を集められないケースもあります。求人を行う企業は応募条件を明示し、求職者の興味・関心を引き付けるサイト構築を行っていくことが重要です。

求人サイトを構築する目的を明確にする

求職者に魅力を感じてもらえる求人サイトをつくるには、どのような目的でサイトを構築するのかを明確にする必要があります。なぜなら、すでに多くの求人サイトが存在しているため、目的が曖昧なままだと独自性を打ち出しにくく、検索エンジンで埋もれてしまう可能性があるからです。
自社が求める人材像を明らかにしたうえで人材のターゲットを設定し、機能やデザイン、コンテンツの内容などを検討していく必要があります。また、サイト公開後の運用面についても企画段階で十分に検討しておくことが大事です。

加えて、競合他社のサイトなども比較・分析を行って、自社ならではのアプローチ方法を見出すことも考えてみましょう。実際に求人サイトを構築する前の段階で、十分に時間をかけてコンセプトや設計を練っておくことで、その後の工程をスムーズに進められるはずです。

使いやすさと管理のしやすさを大事にする

求人サイトは仕事を探している多くの人々に見てもらい、応募や採用につなげていくことを前提としています。そのため、自社がターゲットとしている人材にとって、必要な情報をすぐにチェックできる使いやすさを備えたサイトとして構築することが重要です。
どれだけ内容が充実したサイトであっても、必要な情報にたどり着くまでに時間がかかったり、機能が使いづらかったりすれば、求職者がサイトから離れてしまう可能性があります。実際にサイトを利用する求職者の視点に立って、構築作業を進めていくことが大切です。

また、求人サイトは情報を頻繁に更新する必要性があることから、企業側にとっても運用や管理をしやすいサイトにすることが大事だといえます。サイト公開後の運用面で多くの労力がかかってしまえば、コンテンツの情報を更新する頻度が低下してしまい、利用者が離れていく恐れがあるでしょう。
求職者にとっての使いやすさと、運営側にとっての管理のしやすさの両方を大事にしてみてください。

設計を工夫して、人を集める

求人サイトを立ち上げても、思うように求人が集まらず、失敗してしまうケースがあります。求職者にとって有益な情報を発信し続けていくことは重要ですが、同時に外部サービスとの連携やプロモーションなどの部分も検討しておきましょう。

具体的には、Googleしごと検索などの外部サービスと連携をしたり、求職者がよく利用するSNSと連動して情報発信を行ったりすることが挙げられます。多くの求職者に見られる求人サイトとして育てていくには、継続した取り組みが必要になるので、早い段階でサイトの設計を工夫し、人が集まるサイトづくりを行ってみましょう。

求人サイトを構築する方法

求人サイトを構築する方法として、「ASPやパッケージを利用する」「外部パートナーを活用する」「自社で構築する」の3つのパターンが考えられます。それぞれの方法におけるポイントを解説します。

方法	メリット	注意点
ASP・パッケージ	予算の軽減・期間の短縮	デザインの自由度が低い
外部パートナー	自由度が高く納得いくまでこだわれる	予算や製作期間が膨らみすぎないように注意する必要がある
自社構築	予算を抑えながら細部までこだわれる	適切な人材を社内で見つけることは難しい

ASPやパッケージを利用する

ASP（アプリケーションサービスプロパイダ）やパッケージを利用して、求人サイトを立ち上げる方法があります。メリットとしては、事前に用意されたシステムやテンプレートを使うことで、予算の軽減やサイト制作にかかる期間の短縮につながる点が挙げられるでしょう。

一方で、あらかじめ決められた仕組みの範囲でしかサイトを構築できないため、カスタマイズ性が低いことがデメリットとして挙げられます。機能の追加やデザインの変更などが思うように行えず、イメージに合わない仕上がりとなるケースもあります。

ただし、サービス提供会社によってカスタマイズ性の有無は幅があるので、事前に仕様をチェックして比較・検討してみましょう。

外部パートナーを活用する

オリジナリティに富んだ求人サイトを立ち上げたい場合、一からサイト構築を外部の開発会社に依頼する方法もあります。オーダーメイドで構築する「フルスクラッチ開発」であれば、機能やシステム、デザインなどの面で納得がいくまでこだわることができます。

ただし、既存のシステムやデザインなどを一切使わずに、フルオーダーでの開発を依頼すれば予算や制作期間が大きく膨らんでしまう可能性があるでしょう。求人サイトの構築を検討する際は、自社が抱える課題を洗い出し、解決したい課題に優先順位を付けたうえで、どの程度までを外部の開発会社に依頼し、要望を伝えるのかを精査しておくことが大事です。

自社で構築する

自社で求人サイトを構築するならば、予算は抑えられますし、デザインなどの細かな部分にもこだわりを持てるでしょう。しかし、社内で適切な人材を見つけ出すのはそれほど簡単でもありません。
仮に、Webサイトを構築するノウハウや知識に長けた人材がいたとしても、求人サイトは人を集めることを目的としているため、一般的なWebサイトで求められるスキルとは性質が異なる部分があります。むやみに取り組み始めても、かえって予算や時間を消耗する恐れがあるため、まずは外部の開発会社に相談することを考えてみましょう。
求人サイトの構築に強みを持つ開発会社は多くあるので、企画段階から相談を行うことが大切です。

求人サイト構築の費用相場

求人サイトを構築する際は、費用相場についても事前に押さえておくと安心です。ここでは、開発手法ごとに開発・運用のコストがどの程度かかるのかを紹介します。

開発コストと運用コストの費用相場

開発手法	開発コスト	運用コスト
フルスクラッチ	1,000万円以上となるケースもある	10万円～
パッケージ	400～1,000万円程度	10～30万円程度
CMS	30～150万円程度	0～10万円程度

フルスクラッチでの開発

フルスクラッチで求人サイトを開発する場合、一からすべてを取り組んでいくことになるため、開発費用が1,000万円を超えてくるケースがあります。どの程度の規模で開発を行うかにもよりますが、費用対効果を十分に検討したうえで判断を行ってみましょう。

また、サイトを公開してからも毎月10万円程度の費用はかかってくるため、トータルでのコスト負担を勘案しておく必要があります。フルスクラッチでの開発の場合、本格的な求人サイトを構築するのには向いていますが、限られた予算の中だけで対応しようとする場合は難しい部分もあるでしょう。

パッケージでの開発

既存のパッケージを用いて求人サイトを構築するなら、開発コストとして必要な初期費用は400～1,000万円程度となります。また、別に毎月10～30万円程度の運用コストがかかるでしょう。
フルスクラッチ開発と比べて費用は抑えられますが、自社でサーバーを用意する必要があるなど、パッケージでの開発ならではの負担もあります。

CMSでの開発

CMS（コンテンツ・マネジメント・システム）を利用すれば、Webサイトを比較的手軽に構築することが可能です。開発にかかる費用も30～150万円程度と、他の手法に比べるとコストを抑えられるでしょう。
毎月の運用コストも、まったくかからない場合もあれば、10万円程度のわりと少ない負担で済むこともあります。ただし、CMSで開発を行う際はサイト公開後の運用面も自社で担う部分が大きくなりがちなので、社内のリソースに問題がないかをあらかじめ確認しておきましょう。

外部サービスを利用するときのコツ

自社の求人サイトを構築する際に外部サービスを利用する場合、次の点を押さえておきましょう。

外部サービスを上手に利用する3つのコツ

• 費用対効果のバランスは適切か
• 機能面は充実しているか
• サポートをきちんと受けられるか

それぞれの点について解説します。

費用対効果のバランスは適切か

求人サイトの構築において、外部サービスを利用する場合には、サイトを立ち上げた後のランニングコストも考えてトータルで検討する必要があります。運用面でのコストを低く見積もり過ぎると、サイト公開後に大きな負担となってしまい、早期に閉鎖をしなければならない事態を招く恐れがあるからです。
求人サイトを継続して運用するためには、どれくらいの規模・期間で運用していくのかを企画の段階でしっかりと固めておきましょう。後からデザインを変更したり、追加で機能を設定したりすることも踏まえて、無理のない計画を立てておくことが肝心です。

機能面は充実しているか

外部サービスを比較・検討する際は、機能面がどの程度充実しているのかも勘案する必要があります。求人サイトとしての最低限の機能はそろっていても、自社の課題を解決するための機能が備わっていなければ、サイト本来の力を発揮するのが難しくなってしまいます。

また、一定の期間において継続して運用することが前提であれば、カスタマイズ性の高いサービスを選んでおくほうが無難でしょう。デザインや機能を後から変更するのに大がかりな作業が必要になってしまっては、余分なコストが膨らんでしまう可能性があるからです。
企画段階において、サイト公開後の運用面も含めて、後からどのような機能があればよりサイトを充実させられるのかを精査してみましょう。

サポートをきちんと受けられるか

初めて求人サイトを構築する場合、実際に取り組み始めてみなければ、分からない部分も多くあるものです。外部サービスを提供している会社にあらかじめ相談をしておくことは大事ですが、求人サイトを公開してからも必要に応じて、サポートを受けられるのかを確認しておきましょう。
特に、求人サイトを立ち上げてから、思うように応募が集まらないといった現象は起こりやすいものです。そうしたときに慌ててしまわないために、集客面でのサポートなどで有益なアドバイスを得られる会社を選んでみましょう。
自社では解決しにくい課題をどこまで親身になってサポートしてもらえるかといった観点も、外部サービスを選ぶときには重要な要素です。

まとめ：人材を集められる求人サイトを構築しよう

さまざまな業種で人手不足が課題となる中、仕事を求める求職者と人材を募集している企業をマッチングさせる求人サイトの有用性はますます高まっているといえます。しかし、自社で求人サイトの構築を検討する場合、通常のWebサイトと比べて検討すべき課題は多くあるものです。

また、求人サイトを構築してからも、なかなか求人が集まらずに悩みを抱えてしまうこともあるでしょう。求人サイトを構築する段階だけでなく、公開後も適切なサポートを受けられる会社を選んでおくと、継続して求人サイトを運営しやすくなります。
求人サイトの構築でお悩みの際は、豊富な実績とノウハウを持つフライング・ハイ・ワークスへ、ぜひお問い合わせください。